■素材となるデータ・情報を利用可能にする方法1/2

1 データ・情報の収集の目的

様々なデータや情報をどう集め、どう整理しておいたらよいのか、皆さん悩んでいるようです。様々な提案がなされています。カードにして、バインダーで管理している方も、まだかなりいらっしゃると思います。

ずいぶんアナログ的な方式に見えますが、PC内にデータや情報があるだけより、印刷して紙で見るほうが、使えることはたしかです。カードを見ながら思いついたことを書き込んで、改訂していくことも出来ます。いまだに、この方式をとる人がかなりいます。

この方法が適切かどうか、個人差があることでしょう。ここで大切なことは、使えるかどうか、利用可能かどうかです。せっかく様々なデータや情報を集めても、それがただのコレクションになったのでは意味がありません。使えないと、ムダになります。

 

2 素材の組織化の基準:いつ・どこで

畑村洋太郎『失敗学のすすめ』(2000年刊)に、自動車メーカーの2万件に及ぶ失敗のデータが利用されていなくて、質問された話が紹介されています。失敗のデータが使える形式になっていなかったため、使いようがなかったという事例に当たります。

ここで使える形式という点が、問題です。ただのエピソード集にならないように、素材を組織化することが必要です。組織化するときに、まず優先される基準は、時間と空間になります。データも情報も、「いつ・どこで」のものなのかが重要です。

データにしろ、情報にしろ、時と場所に規定されています。「いつ・どこで」を考え、さらにどんな場合であるのかを検討するのは当然のことです。これが情報の組織化の一番の基礎的手法であるTPOになります。ビジネスでも基礎となる安定した基準です。

 

3 対となる概念の発見が重要

私たちが、経緯をまとめようとする場合、時系列を使うのが合理的です。「時」をもとにまとめていけば、基準が客観的ですから、経緯は伝わりやすいはずです。いつ何があって、そのあと、どうなっていったという形式が出来上がります。

事項がたくさんあった場合、客観的な基準で区分すると、利用するのが楽になります。その意味で、客観的な基準である「空間」も上手に使うべきです。例えば、車のデータを整理するとき、車内の事項なのか車外のことなのか、最初に区分けしておくと便利です。

しかし、時と空間がいつでも使えるわけではありません。このとき、概念が同列であるものを、見出すことが大切になります。同列のものなら、対比が見えてきます。「AとB」という形式のテーマ名がときどき見られます。いわゆる、対の関係です。

対の関係にあるものが見つかったなら、対象を比較することが出来ます。同一性・類似性とともに、対照性や対立点が見えてきます。一方だけでは見えないものが、同列概念を比較することによって、特徴が明確になってきます。(つづく

 

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