■遠藤功『「見える化」勉強法』から学ぶこと

1 ロジックより筋のよさが大切

ロジカルシンキングに懐疑的であると書いたところ、意外に感じた方もいたようです。こんなこと当たり前だと思っていました。遠藤功は『「見える化」勉強法』で、「論理思考」を身につけたら有能になれる…と考えるのは、<危険な発想>だと書いています。

<「ロジック」に頼っているコンサルタントは決して一流のコンサルタントではありません>と言います。<「ロジック」はあくまでも「思考の道筋の一部に過ぎません」>、ロジックだけではどうにもならないのです。勝負のポイントは、筋のよさにあります。

そのためには、発想の「引き出し」をたくさん持つことです。活字情報を丹念に読むこととともに、現場に出かけて一時情報に接することが必要です。大切なのは、<「引き出し」を増やすという明確な意識を持って、日常的な活動に取り組むことです>。

 

2 「白地観察」と「基準観察」

遠藤功は「仮説思考」に対しても、<要注意です>と言います。<考える前にまず動く。最初は無垢な気持ちで、一時情報に接することが大切です>。それには、二種類の「観察思考法」を身につけることです。「白地観察」と「基準観察」が必要です。

先入観なくまっさらな気持ちで観察する「白地観察」で大切なことは、観察する「対象物」を絞り込むことです。<観察とはフォーカスすること>であり、絞り込んだ対象物を、じっくり・しつこく見ること、「小さな気付き」を大切にすることが必要です。

判断基準をもった「基準観察」の場合、物差しとなる基準が大切です。あるべき姿である「お手本」が基準になります。工場なら、チェックリストが思い浮かぶかもしれません。基準をもとに、質問していくと、さまざまなものが見えてくるのだ、と指摘します。

 

3 「言語化」こそ、思考の「見える化」

思考とは「思い、考える」ことであり、その前提として、感じることが重要です。そのとき、勝負を決するのは「眼の付けどころ」ということになります。<どの部分に「着目」するかによって、そこから生まれてくる意見や主張は大きく変わります>。

こうした思考を「見える化」するには「言語化」が必要です。<「考える」とは、詰まるところ「言語化」だ>と言います。<書いたものはごまかしがきかない>ため、「書き言葉」に言語化する作業こそ、<私は思考の「見える化」と呼んでいます>。

主体は何か、何が起きているか、どういう影響があるか、なぜ問題なのか、こうしたことを言語化する必要があります。プレゼンテーションにおいても、<鋭い「言語表現」で伝えるのが基本です>と言い、<絵や図表の多用>を戒めています。

<絵や図表にまとめた方がわかりやすい場合にのみ、限定的に使います。ビジュアル化・図表化は、吟味されて本質をついた言葉の力には、けっしてかなわないのです>…と書いています。王道を行く勉強法であると思います。

 

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