■構造化の効果:概念を明晰にする方法

 

1 パースの概念を明晰にする方法

プラグマティズムを提唱したパースは、「概念を明晰にする方法」という論文を書いています。概念を明晰にすることによって、正しさの検証が可能になるという考えです。この点が、重要な効果となります。

パースは、いわゆる「科学の方法」を提唱しています。実験・検証を行い、その結果をみることによって、正しさを確かめる方法です。これで正しいのだと判断する「信念の確立」がなされるということでした。以前ブログに書きました(「信念の確立法」)。

一度確立した信念でも、検証を繰り返すうちに、見直しが必要になる場合があります。「科学の方法」は、より正しいものを見出すための相対的な方法です。概念が明晰なら、自己検証によって、自分で間違いに気がつくことが可能だということになります。

 

2 アイデアを生むには論理性が重要

先日、ブログで紹介した中山敬一(「中山敬一の勉強法」)は、医学の研究者としてめざましい成果を上げています。その著書『君たちに伝えたい3つのこと』の中で、論理性が大切である点を強調しています。論理性は、概念を明晰にするための基礎になります。

論理を重視していれば、意外な事実があったときに、それを論理で説明しようとして、そこからアイデアが生まれてくる…と中山は考えています。まさに「科学の方法」です。意外な事実が出てきたときがチャンスなのです。

論理を整え、概念を明晰に維持していく過程で、意外な事実が出てきたなら、それを説明する新しい論理を構築する必要があります。簡単ではないでしょうが、しかし、新しい論理が構築できたら、新発見ということになります。

 

3 コンセプト・論理性を獲得する訓練法

概念を明晰にするという言い方よりも、現在では、論理性を重視するという言い方の方がしっくりくるかもしれません。ホンダではコンセプトという言い方をしています。ここにいうコンセプトは、概念とは多少ニュアンスに違いがあります。

「よいコンセプトができたら、かならずよい商品や技術ができる」という考えがホンダにあるとのこと。コンセプトとは、「お客様の価値観に基づき、ユニークな視点で捉えた物事の本質」を言います。これもブログでご紹介しました(「エアバックの開発」)。

ホンダでは、ワイガヤなどを通じて、物事の本質を捉える訓練を繰り返すことによって、コンセプトを作る訓練をしているそうです。一方、中山の場合、論理性習得のため、頭の中に他人を作って常に対話すること、きちんとしたノートを作ることを求めています。

 

4 構造化:概念の混在を排除する手法

文書を作っていくとき、これらとまた別の手法があることに気づきます。それが構造化というものです。ホンダ流「コンセプト」の定義のように、「構造化」を定義するなら、「概念の混在を整理することによって、対象を明確にする方法」ということになります。

まず、対象となる思考のなかに、概念の混在があるかをチェックして、その混在を解消していきます。そうすることによって、対象となる思考の構造が明確になっていきます。まずはじめに雑音を排除します。そうすると、本質が見えやすくなります。

中山のいう論理性やホンダ流のコンセプトと、パースのいう概念とでは、思考の複雑さがずいぶん違います。パースの場合、シンプルな思考が中心となっています。学問体系やビジネスの場合、もっと複雑な構造をもった思考が対象となります。

こうした思考を明晰にするには、論理性・物事の本質・構造といったものが明らかにされる必要があります。しかし、いきなり論理性や本質をつかむことは、簡単ではありません。その把握を邪魔するものから整理していく手法が、構造化ということになります。

 

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