■業務の再定義:外食産業にも変化

▼チェーンストア理論の見直し

日本の外食業界で注目すべき動きが出てきたように思います。景気回復が始まると、パートタイムの勤務条件から改善してくると言われています。その理論どおり、外食産業のアルバイト不足が起こっています。

アルバイト不足に対処するため、まず時給の上昇がおこります。それだけで対応できた時代もありました。しかし、今回は様子が違うようです。この点が、今回の特徴だろうと思います。ついに…という気がします。

DIAMOND online 2014年6月10日 の記事に「吉野家“ミスター牛丼”退任 外食産業に迫る変革の波」があります。

人手不足の対策として、≪単純に時給を上げて対応するのではなく、この採用難をきっかけに、チェーンストア理論の見直しにまで踏み込もうとしている≫…とあります。

チェーンストア理論というのは、記事にあるとおり、≪一つ一つの店が個性を持つことはなく、戦略やオペレーションは本部が考え、店はそれを実行するだけ。極言すれば、本部が頭脳で、店は手足であり、アルバイトも本部の指示をこなせさえすればいいという構造≫…です。

 

▼現場のモチベーションアップ

人間には、自分の頭で考える業務が必要です。そうでない業務では、人はなかなか成長しません。居心地のよい職場を作って、能力を上げていくこと、それを評価していくことが大きな流れになっていくなら、非常によいことだろうと思います。

先の記事の中に、具体的な事例がありました。まさに、そのものずばり…です。一番大切な原則です。
≪例えば、すかいらーくでは、現場のスタッフが自分で考え、行動するような教育とオペレーションに変えているさなかだ。そうすることで現場のモチベーションも上がる。≫

今後、重要になるのは、現場のスタッフの判断・行動をどう評価したらよいのか、その適切な評価基準が作れるか、という点でしょう。おそらく、業務を行っていく過程で、何となくわかってくるはずです。

現場のスタッフも、自分たちの評価をどうして欲しいのか、わかってくるはずです。大切なのは、自分で考え、行動するようなオペレーションに変えていくことです。こうした業務の再定義によって、現場のモチベーションが上がってくるはずです。

 

▼スターバックスの原則

スターバックスの海外進出を主導したハワード・ビーハーは、『スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則』の中で、書いています。

≪スターバックスでは、すべてのパートナーが現場で臨機応変な決定が下せるような独立性重視の企業文化を形作るよう努めている。私たちの使命は、各自がその人なりの考え方や技術を仕事に生かせるよう自主性を尊重することだ。≫

もちろん、≪ダブルトールバニララテは東京でもルイジアナ州バトンルージュでも同じ味でなければならない≫のはもちろんです。同じ味であるとは、≪一定の水準や期待値を示すもの≫…という考え方をとっています。

こうした考えは、1990年代に海外進出する際には、確立していたそうです。もちろん実際の現場がどうであるのかが大切です。しかし、チェーンストア理論にしばられていたら、その先がありません。構造変化が必要でした。今後に注目していきたいと思います。

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