■日本語のバイエルについて

1. 日本語のバイエルとは

日本語のバイエルといわれても、何のことだか、わからないと思います。私が考えた日本語の文法のことです。

業務マニュアルや操作マニュアルのように、反復して使われる文書の場合、文章についての要求が高くなります。マニュアルをもとに、業務なり、操作なりがなされますから、きちんとした文で書く必要があります。

マニュアルをチェックする方々は、ときどき戸惑うことがあります。修正すべき記述があった場合、それを指摘して直してもらうときに、どうしてなのでしょうかと聞かれることがあるのです。どうして、ここを直さなくてはならないのか、説明できないことがあります。

私の経験から言っても、指摘に対してその理由を問う質問は、たしかによくあります。説明すべき何らかのルールがあってほしいというお話もお聞きします。

あるいは痛恨のミスをすることもあります。チェックミスで誤解される記述を放置した結果、クレームになってしまたケースです。何で見逃してしまったのだろう、と頭をかかえたくなるのではないでしょうか。

こういうことを皆無にすることは難しいと思います。しかし、たいていのケースで、振り返ってみると、何となくおかしいと感じる瞬間はあったはずなのです。文章をチェックする立場にある人は、文章のルールが明確になっていたらと思うことがあるはずです。

 

2. 接続する助詞のルール

文章チェックの場合、一番効果の大きいのは、プリントアウトして確認することです。画面で見るよりも、圧倒的にミスに気づきやすくなります。ですから、マニュアルをチェックするとき、プリントアウトすることは必須です。

もうひとつ多くの場合なされるのが、音読という手法です。声に出してみると、何となく文のリズムのおかしさに気づく可能性が高くなります。

しかし、これだけでは不十分なのです。例えば谷崎潤一郎は、絶対音感にあたるような言葉の感覚が非常に優れた作家です。こういう人は、そんなにたくさんはいませんね。

「女はそれを我慢できない」という映画の題名について、谷崎は気持ちが悪いというのです。おかしいものはおかしいという立場です。谷崎の場合、日本語の文法を相手にしていません。自分の言語感覚に自信があるのでしょう。

おそらく間違ってはいないと思います。しかし、どうも居心地が悪い。谷崎は、「女はそれが我慢できない」ではないかと言うのです。音読すれば、わかるものでしょうか。何人かの方に二つの文を音読していただいて、どちらが正しいかお聞きしたのですが、わからないとおっしゃっていました。

ちょっとしたルールを覚えておけば、自信を持って答えられます。

このケースのように、「できる・できない」という可能を示す述部の場合、その前の語句には「が」を接続させるとしっくりくるのです。「を」よりも「が」がふさわしいのは、そこを取り出してみたらお分かりになると思います。

「何ができますか」と「何をできますか」では、どちらがしっくり来るでしょうか。「何が」の方でしょう。ポイントを取り出してみれば、おわかりになるはずです。

希望の場合も同じです。「私は酒が飲みたい」なのか、「私は酒を飲みたい」なのか、どちらでもよいとも言えますが、可能の場合と同様に、わかりやすいのは「酒が」の方でしょう。

 

3. 文章上達のためのツール

日本語は、膠着語と呼ばれている言語です。膠(にかわ)というのは、糊ですね。語句を糊付けして文を作っていく言葉です。糊付けの役割を担うのは、助詞です。助詞の接続の仕方が、その語句の意味を決めます。

助詞の接続の仕方にブレがある場合、文を読んでいて、何となくおかしいと感じるはずです。助詞の接続がしっくりしているなら、文の骨格はひとまず問題ないはずです。そういう文なら、その他のおかしな部分にも気づきやすいと思います。

助詞の働きに注目して、日本語の読み書きのルールを作ってみました。普段、気楽に文章を書くときに、いちいち文法がどうしたなどとは考えません。そんな必要はないでしょう。

ふと、おかしいと思ったら、その部分をチェックするだけで十分でしょう。こうしたことを繰り返すうちに、おかしなところに気づきやすくなります。気づいたところを自分で直せるなら、その人は、文章が上手だということだろうと思います。

文章の上達、読むときのツールとして、日本語のバイエルを利用していただけたら幸いです。日本語のバイエルについて、4月22日、BPIAの <目からウロコの「新ビジネスモデル」研究会> でお話します。ご興味のある方、どうぞお聞きください。

ビジネスの基礎となる検証可能な読み書きのルール~日本語の教科書「日本語のバイエル」の紹介~

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