■操作マニュアル講座参加者の変化

1 操作マニュアルの潮流:メインプレイヤーの入れ替わり

講義を続けていると、あるとき突然、大きな流れの変わり目を感じることがあります。どうやら操作マニュアルに対する意識が、大きく変わりつつあるように思います。

今年はじめに行った操作マニュアル講座を受講された方は、全員がシステムの操作マニュアルを書く業務に従事している方でした。ここ数年、操作マニュアルの講座を聞こうという意欲的な方々は、ほとんどがシステムの操作マニュアルを作成する方になっています。

今回、特徴的だったのは、お一人以外、自社の業務システムの操作マニュアルを書く必要があっての参加ということでした。昨年の初めまでは、自社の業務システムのマニュアルを作成する方の参加は、おそらく6割がせいぜいだったでしょう。2〜3年前なら、システム会社の方々、アプリケーションの操作マニュアル作成者が、中核的存在でした。質問をなさる方の中心にいました。

今回は例外かもしれませんが、システムを提供する会社の方が、ついに5%を割ったか…という感慨がありました。

     

2 自社の業務システムの操作マニュアル

自社の業務システムの操作マニュアルを、自社で作るのは当たり前のことです。ついに本気で作り始めたという感じを持ちました。まだまだ会社は、担当者任せです。質問をお聞きすると、どなたも操作マニュアルの作成について学んだことがないとのことでした。

講義のあと、7社8名の方の質問が80分にわたってありました。きちんと仕事をこなす意欲的な方々とお話できてうれしく思いました。

このうち2件は、ご自身に権限もあり、実力も十分にあると思われました。ありがたいことに、講義で説明したことを実際に社内で実行してくださるとのことでした。おそらくあの方々なら、お出来になるでしょう。

しかし、その他のケースは、なかなか厳しいお話でした。ことに2件に関しては、お話を聞く限り、操作マニュアルの体をなしていないという風でした。ご本人達もまずいとお分かりでしたし、実際に使えないと言われているとのことです。

これはただならぬことです。全面的な見直しをする必要があります。どうしたらよいのか、どこから手をつけたらよいのか分からない…というのは、本音でしょう。作り方の教育が全くなされていないというのは、大きな問題になりそうです。

しかし、とにかく動き始めました。これが大切なことです。

    

3 業務マニュアルと業務システムマニュアルの関係

おそらく現在は過渡期なのでしょう。これから、会社側のバックアップも得られるようになると期待したいと思います。

システム会社の方々に作ってもらったマニュアルだけで、日常業務を行うというのはありえないことです。業務システムと業務は一体化していますから、とても操作マニュアルは大切です。

まずは全体の業務フローを作らないといけません。「それがないのです」というお答えが今回もありました。業務マニュアルは作られているけれども、実体と乖離しているというお話もありました。

業務マニュアルは、改訂しやすい形式でない限り、現実の業務に取り残されます。きちんとした業務マニュアルができておらず、業務システムの操作マニュアルの中に、業務マニュアルが組み込まれているというケースもありました。これはまずいですね。

業務マニュアルと業務システムの操作マニュアルは、別立てで作らなくてはいけません。業務は常に変化しています。システムは常に変化しているわけではありません。業務システムは、業務の変化に合わせて、仕様を変更していく必要があります。

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